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飽食の時代の低栄養・栄養バランスの崩れ

先生

●若年層で栄養バランスが崩れてきた

 食生活が豊かになって、好きなものを好きなだけ食べられる時代に、かえって栄養バランスを崩し、栄養素不足に陥っている人が増えています。
 国民栄養調査の結果をみると、どの年齢層でもカルシウム不足の傾向が続き、その不足は特に若い層で目立っています。また、若い女性では鉄不足の人も大勢います。これには「飽食の時代」の若い人達の食事の乱れや偏りが原因しているものと考えられます。

●多い朝食欠食者

 20歳代では、男性の3人に一人、女性の6人に一人が朝食を抜いています。朝食欠食者では、夕食時刻が不規則で、夕食後就寝前の間食をする人が多いなど、一日を通して食生活のリズムが乱れています。「夕食に塩分の多い食品・料理を摂ることが多い」「揚げものを食べることが多い」「野菜をあまり食べない」「食事で主食(ご飯、パン、めん類)を摂らないことがある」とする人が多く、朝食欠食者では夕食内容にも偏りがみられるとの指摘があります。また、10代後半から20歳代の人達では脂肪エネルギー比率は29%と適正比率(25%)をはるかに超えて増え続けています。若い頃からの脂肪多食は、将来の生活習慣病の遠因となることが心配されています。E胃

●偏っている大学生の食事

 大学生対象のある調査で「バランスの良い食事を心がけている」と回答した人は10%強で、「砂糖や塩や油の摂り過ぎに気をつけている」人は20~30%でした。また、どんな野菜を普段食べているかを調べた結果、淡色野菜、いるとした人の割合は、それぞれ40%台、20%台でした。さらに海藻類を食べている人は20%台、以下同様に牛乳・乳製品は40~50%、卵は40%、大豆製品と魚介類は40%台、肉類・肉加工品は80%でした。まんべんなく食べている人は小数派であるようです。これらの食品はどれも、ビタミン、ミネラルなど微量栄養素の大切な供給源となっていますから、栄養素摂取の偏りが心配されます。Eカレー

●簡便・単品志向

 また、大学生では全体の半数以上が外食・自炊となっています。食事、栄養の自己管理能力によって、こうした若い人達の栄養バランスは大きく違ってくるものと思われます。
 別の調査では、学生食堂の定食を食べる人の数が10年間で激減し、コンビニエンス食品、ファーストフードに取って代わられてきています。また、食堂メニューの選択も、めん類、丼物、カレーライスなどの単品物に集中する傾向が強くなってきています。こういう食事を続けると低栄養状態を招くことが十分考えられます。

●正しい知識を伝える必要性

E満腹1 若いときに無理なダイエットをすると5年くらいで骨密度が低下、ホルモン分泌異常を来し、中高年になって骨租しょう症になりやすくなるという研究もあります。情報は氾濫していても、基本的な食事・栄養知識に欠ける人が若い人には多く、それをきちんと伝える人もいない、というのが現代の状況のようです。子どもの頃からの食事教育を通して、正しい食習慣を植え付けることがますます大切になってきています。

国民生活センター 『くらしの豆知識2000』 より

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