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骨粗鬆症と高齢化社会

 「骨粗鬆症」とはずいぶん難しい字を書きますが、「鬆(しょう)」の字は野菜などの「す」のはいった状態のことを意味する漢字です。
 すなわち「骨粗鬆症」とは骨に「す」が入って折れやすくなる病気のこと。現在わかっているだけで日本の「骨粗鬆症」の患者さんは500万人とも言われています。
 しかし、潜在的には自覚症状のない患者さんの数を含めるとその数はそれをはるかに越えるといわれています。
注射器 飽食の現代では私たち日本人の食生活も豊かになり、むしろ過剰な栄養が成人病の原因になっています。
 そんな中で唯一「カルシウム」だけが我々の食卓に不足しています。
 日本人は欧米人に比べカルシウムの吸収率のよい乳製品の摂取が少なく、私たちのカルシウム源である小魚や緑黄色野菜からの吸収率は乳製品の50%に比較してわずか2~30%と低い値を示しています。
 骨の成分であるカルシウムの摂取不足が先ずは第一の原因といえるでしょう。
 さて「骨」は発育が止まると生涯変わらないように思われがちですが、実は骨の中の細胞は一生涯、再生と破壊をくり返しているのです。
 このことを「骨代謝」といいます。
 骨代謝には骨の成分であるカルシウムの不足や副甲状腺ホルモンやビタミンDなどのバランスが関係してきますが、それがくずれたりすると骨の細胞の再生が破壊に追いつかず結果的に骨の太さとかには無関係に「骨粗鬆症」が起こります。
 例えば女性の場合「骨粗鬆症」にかかる年齢は40代で2~3%なのに50代で10~15%、60代で35~45%、80代ではなんと70%と年齢とともに急増します。
 長寿社会の現代では「寝たきり老人」 の問題は深刻ですが、その原因の第一位は「脳血管障害」で、第二位はこの「骨粗鬆症」です。
 自覚症状の比較的少ないこの病気は静かに進行し、やがて簡単なことで 「骨折」を起こし、治癒するまで寝たきりを強いられます。
患者 その結果、治癒しても筋力は衰え、歩行も困難となって本当の 「寝たきり」になってしまうのです。
 特に、お年寄りの転倒による足の付け根の骨折は極力避けなければなりません。
 このことは「骨粗鬆症」→「骨折」→「寝たきり」→「老人性痴呆」と言った具合に、老後の深刻な問題を引き起こします。高齢化社会と骨粗鬆症の問題はこのように密接な関わりを持っているのです。

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