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アトピー性皮膚炎の対処法

 アトビー性皮膚炎は、いろいろな原因で起こるとされています。その臨床的特徴は掻痒で、症状が活動しているときは、年齢を問わず皮膚に掻破痕が見られます。また、年齢によって症状が異なり、低年齢は湿潤、紅斑が著名ですが、学年が長ずるに従ってこのような症状が少なくなり、だんだん苔癬化が進んできます。
 患者さんの背景(素因)を検討すると、小児では多くの患者さんがアトビー体質で、小さい時から症状が見られることが多いし、家族にアレルギー疾患罹患者あるいは罹患経験者が多いのです。
 このような特徴を持つアトビー性皮膚炎児の、日常の対処法について検討を加えてみましょう。
スキンケア

 スキン・ケア

 アトピー性皮膚炎の症状がある部位は、皮膚の防御能力が低下し、外界からの刺激、微生物の侵入に大変弱い状態になつています。
 事実、アトビー性皮膚炎患者さんの皮膚を培養すると、99%に黄色ブドウ球菌(プ菌)が検出されますし、時にMRSAのこともあります。この皮膚の感染部位のブ菌はいろいろな毒素を産生し、皮膚の障害を、いっそう悪化させます。
 それゆえ、せっけんで洗うなど、まず皮膚を清潔に保つことが大切です。皮膚を洗うには入浴が一番です。入浴時まず全身をせっけんで洗ってから(必ず手で)、湯船に入り (3~4分)、そのあと、また全身をせっけんでよく洗います。洗ったあとはせっけんを流し、湯船にもう一度入ります。頭に症状があるときは、シャンプーでよく洗うことが重要です。夏場は汗をかくことも多く、シャワーを朝晩行うと、より効果的です。
食事制限

 食物との関係

 アトビー性皮膚炎の症状増悪に食物がどのように関係しているかは、重要な問題です。この問題を二つの観点から検討してみましょう。
(1)本当に食物によってアトビー性皮膚炎が悪くなる症例があるかです。答はイエスです。
 ところが、食物制限をされている外来患児を入院させて食物負荷を行ってみると、その半数は陰性で、食べられる食物でありながら、それを除外していた人が実に多いことが分かりました。むしろ、親が勝手に食物制限を行ってしまうことが問題です。食物制限をする場合は、必ず医師と相談してください。
(2)どのような食物がアトビー性皮膚炎に効果的かの問道です。
 クロマン博士らは、グリーンランドのエスキモーと、肉をよく食べるデンマーク人(nー6系多価不飽和脂肪酸が多い食事)の疾病の比較で、デンマーク人は心筋梗塞や喘息が多いと報告し、アレルギー疾患の背景に食物の関与を示唆しています。一方、魚油に多く含まれるnー3系多価不飽和脂肪酸を投与してよくなつたという発表もあり、食物とアレルギー疾患との関係は、今後も重要なテーマです。
住宅のダニ対策

 生活環境

 生活環境は極めて重要で、なかでも住宅のダニ、カビ対策は徹底的に行うべきです。実際、外来患者で、じゆうたんを撤去し、布団にダニ防止カバーを付けてみると、症状が著しく改善した例がたくさんあります。最近は、新建材から出る室内汚染物質や環境ホルモンがアトビー性皮膚炎を増加させるという意見もあり、今後の研究が待たれます。

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