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腱鞘炎の症状・原因治療について

腱鞘炎は複雑な動きをする手に多い

 手は「つかむ」「握る」「つまむ」など、複雑な動きをするため、関節がたくさんあり、なめらかに動くには、関節とともに腱も円滑に動かなくてはなりません。腱の動きをスムーズにするため、腱はその外側をストローのような鞘で包まれており、この組織を『腱鞘』といいます。そして、ここに炎症が起きることが「腱鞘炎」なのです。
 腱鞘は手・肩・足首など、関節のあるところに存在し、特に手に多く、腱鞘炎は手に起きることが圧倒的に多いのです。腱鞘炎が手の病気と思われがちなのも、そのためでしょう。
家族 手は日常生活で最もよく使うところだけに、少しでも支障が起こると、たいへん不便です。腱鞘炎は中高年の女性に比較的多くみられ、主婦の場合は本人だけでなく、家族の生活にも大きな影響を与えることになります。

腱鞘炎の症状

 一番多い症状は、「腫れ」です。指のつけ根の内側が腫れ、押すと痛みがあり、よく使う親指が腫れる場合が多いのです。逆に普段あまり使わない薬指が腫れることもあり、もともと動きがよくない指なので、慣れない仕事をすると負担がかかりやすいのです。
 指の動きがギクシャクして、曲がったまま伸びなくなったり、伸ばしたまま曲げられなくなったりすることもあり、曲がったままの指を無理に伸ばそうとすると、「ポキッ」と、はじかれたように伸びることがあります。俗に「ばね指」と呼ばれています。

腱鞘炎の原因

赤ちゃん 腱鞘炎のほとんどが関節の使い過ぎ、機械的なストレスが原因となります。
 長い時間赤ちゃんを抱いていたり、あるいは床磨きをやり過ぎたりといったことなど長時間同じ作業をするのが原因。
 料理の際、大量のもやしの根をきれいにつまんでいるうちに、腱鞘炎になったという人もいます。腱鞘炎になる人に主婦が多いのは、家事などで手を酷使するからだと思われます。家事だけではなく、キーパンチャーやピアニストなど、指をよく使う職業の人たちにも、腱鞘炎はよくみられます。
 くり返しの動作からだけではなく、引っ越しなどで重い荷物を持ったりしたときなど瞬間的に過度の力が加わったときにも、腱鞘炎は起こります。
 その他、リウマチや結核、糖尿病などの病気にかかっている人が、それに付随する症状として腱鞘炎を起こすこともあり、その場合、原因となっている病気を治療することが必要となります。長時間の水仕事などで体を冷やしたり、血行を悪くしないよう気をつけましょう。
 慣れない仕事や同じ動作のくり返しなど、腱鞘炎の原因になりそうなことは、ほどほどにするよう心がけましょう。

腱鞘炎の治療

 腱鞘炎の治療には、痛む部分を使わないよう安静を保つことが一番です。
 入浴時など、お湯の中で患部をゆっくりマッサージする温熱療法で血行を促進して回復を助けます。
 消炎鎮痛剤を内服したり、塗ったりするのも効果があります。重症の場合、まず医者に相談して、炎症を抑えるための副腎皮質ステロイドホルモンを、腱鞘の中にごく微量注射することによって、かなり確実に治ります。
注射 その他、より重症の場合には、手術することになります。手術といっても大変なものではなく、狭くなってすべりが悪くなつている腱鞘の一部を切開してゆるめるだけの簡単な手術です。時間は5分程度で終わり、入院も不要で、後遺症の心配もありません。
 手術をするか否かは、その症状の程度によって判断されますので、痛みが続いたら我慢せずに、早めに専門医に相談し、適切な治療を受けることが大切です。

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