病気Ⅰトップ

人工ペースメーカーの種類と移植の手順

 徐脈や頻脈のために、薬剤治療が無効で正常の心機能を維持できない場合に「人工ペースメーカー」が使用されます。これは、心臓を電気的に刺激することにより、心臓のリズムを正常化ないし正常に近い状態に保つことを目的としています。
 本来、徐脈に対して、心臓を刺激しリズムを維持することが一般的でしたが、最近では頻脈にも用いられ頻拍を正常化することを目的として使用されるようになっています。

 恒久的なものは五つの機能をもつ

 ペーシングの方法にも、急性期に一時的に使用する一時ペーシングと一生ペーシングを続ける恒久性ペーシングがありますが、ここでは後者についてお話しすることにします。
 人工ペースメーカーも多様な機能をもった機種がいくつも登場しています。現在では、 ① ペーシングの部位 ②心臓の電位のセンシング部位 ③センシングに対する応答様式 ④プログラム可変性・心拍可変性 ⑤抗頻拍機序の五つの機能により機種の分類がなされるようになっています。
 最近では、心拍数を生理的に調節可能なペースメーカーが開発され、すでに臨床に使用されています。生理的変動は、体動の感知、呼吸数の感知、血液温度の感知、QT間隔の感知などにより、その変動をとらえ、それに見合った心指数になるように、ペースメーカーは心臓を刺激します。
 では、人工ペースメーカーを移植する手順を説明いたしましょう。人工ペースメーカーは二つの部分よりできています。主要な部分は、プログラムと電池を組み込んだペースメーカー本体で、もう一つの部分は、心房または心室へ挿入する電極カテーテルです。心房と心室をペーシングする場合には電極カテーテルは二本必要となります。

まず、左または右の鎖骨下部を切開し、皮下にペースメーカーを入れるポケットを作ります。

次に鎖骨下静脈の分枝を切開により露出し、Ⅹ線TV透視下にこの静脈から右房、右室またはこの両方に電極カテーテルを心房壁または心室壁にしっかりと固定するように挿入します。

続いて、電極カテーテルをペースメーカー本体に接続し、ペーシングの最良条件を設定します。

最後に、ペースメーカー本体を皮下ポケットに納め、皮膚縫合して手術は終わります。

 近年臨床に使用されているペースメーカー本体は、年々、小型化、軽量化され、電池も耐用年数が10年と長期寿命のものがほとんどです。

病気Ⅰ・ページのご案内

ページの上に 戻る↑