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外反母趾の状態と治療法に靴選び

★ 先細の窮屈な靴が足の変形を引き起こします。
★ 足の親指の付け根が出っ張って痛む人、親指が小指側に傾いている人は要注意!これ以上進行しないように、すぐに予防を始めましょう。
★ 靴をぬいでも痛む人、親指と第2指が常に重なる人は、整形外科医によるチェックが必要です。骨の変形が進んでいれば、手術の適応となります。

親指の付け根の関節が脱臼骨や靭帯がずれ、親指の向きが変わる

外反母趾は、足の親指(母趾)が小指側に曲がって(外反)痛む病気です。「親指の付け根の骨が出っ張って靴があわない」「長い間靴をはいていると足が痛い」などの症状はあるけれど、病院に行くほどではないと我慢してしまう女性はかなり多いと思われます。
 ほとんどの外反母趾は、先の細い窮屈な靴が原因で起こり、徐々に進行します。
 先の細い靴をはいていると、足の親指は小指側に曲げられ、親指の付け根が強く圧迫されます。摩擦で親指の付け根の骨と皮膚の間にある粘液包 (粘液の入った袋)が炎症を起こして赤く腫れ、痛みを感じるのです。しかし、初めは家に帰って靴を脱げば痛みが消えるので、つい我慢をしてしまうのです。
 なおも、窮屈な靴をはき続けていると、親指の付け根の関節が脱臼し、親指が小指側に曲がります。親指の骨の下側にある種子骨という小さな骨や靭帯の位置もずれ、親指をうまく動かすことができなくなります。また、第2指や第3指も痛み、靴をぬいでも痛みがとれない状態になります。
《エジプト型》は要注意

足の親指が長いと外反母趾になりやすい

 足の形は一人ひとり違いますが、足の指の長さによって大きく三つのタイプに分けられます。
① 親指が第2指より長いエジプト型
② 親指が第2指より短いギリシャ型
③ いずれも同じ長さで、どちらともいえない正方形型
足の形から言えば、親指の長いエジプト型(日本人にいちばん多い型)が外反母趾になりやすいので、エジプト型の足の人は気をつけていただきたいと思います。
 また、もともと足の親指の付け根の骨が大きい人、親指がわの種子骨が小さい人、慢性関節リウマチの患者さんなどは、外反母趾を起こしやすいと言われています。
 外反母趾が圧倒的に女性に多いこと、しかも初経期と閉経期に重症例が多いことから、ホルモンとの関係も研究されていますが、まだ詳しいことは分かっていません。
変形が進めぼ手術も

種子骨の位置が手術をするかどうかの目安となる

親指の骨の下にある種子骨のずれの程度が、手術をするかどうかの決め手になります (下図参照)。エックス線検査で、種子骨が小指側にずれていれば手術、骨の下に治まっていれば日常生活に気を付ける保存的療法ということになります。
 手術にはいろいろな方法がありますが、現在国際的に最も評価が高いのは、足の甲の骨を関節の外側で切って、関節や腱、種子骨を正しい位置に戻すということです。出っ張っている部分や種子骨をとるという方法では良い結果は得られません。
 手術には約1ケ月の入院は必要となります。個人差がありますが、患部が安定するまでにはさらに時間がかかります。退院後は、靴の選び方に気をつけるのはもちろん、足底板(足のアーチを保つ中敷) を使って筋肉を鍛えるなど、再発防止の努力が必要です。

★ 外反母趾の状態

外反母趾1
正  常      外反母趾

★足の形態

外反母趾2
エジプト型   正方形型  ギリシャ型 
日本人
手術例
69%
77%
6%
8%
25%
15%
外反母趾3

★ 種子号の位置と治療法

右は外反母趾、左は正常な場合の骨や靭帯の位置を示しています。正常な場合「種子骨」と呼ばれる2つの小さな骨は、親指の骨の下に収まっています。親指と第2指の角度は5~8度。外反母趾では種子骨は小指の側にずれ、親指と第2指の骨の間に落ち込んだようになっています。親指と第2指の角度は8度以上になっています。

★ 靴選びのポイソト

(フラットシューズの場合も同様です)
足先にゆとりがある。
ボール(足幅のいちばん広いところ)にゆとりがある
緩すぎると足のアーチが崩れ、よくありません。
腰革が緩すぎない
緩すぎると安定性が悪くなります。
かかとの部分がきちんとフィット。
靴をはいてみるときは、まずかかとをフィットさせます。
ヒールが垂直である
平らなところに乗せて、後ろから見ます。
内振れ(先端が親指側に傾いている)がある。
靴底からチェック。
土踏まずを支えるアーチポートがある。
アーチ構造がきちんと保たれます。
外反母趾4
外反母趾5
外反母趾6
外反母趾7

こんな工夫で予防する

 外反母趾の予防や軽度の患者さんの保存的治療の基本は、足の指をよく動かすことです。動かすことによって、筋肉や腱の機能が高められ、足のアーチ(足底のカーブ〉が正しく保たれます。このことが足の健康にとってとても大切なことなのです。具体的には、次のような方法を生活に取り入れましょう。
★ 鼻緒のついた履物をはく
 かつて外反母趾は日本人には少なかったのですが、鼻緒のある履物が減り、靴をはく生活が一般的になるに従って、だんだん増えてきたという背景があります。鼻緒のある履物は足の指の運動に効果があるので、はく機会をできるだけ作りましょう。
★ はだしになる
 自由のきく時間帯には、成るべくはだしで生活してみましょう。靴下も脱いだ方が、より自由に指が動かせます。
★ ガーゼを指の間にはさむ
 親指と第2指の問にはさむ装具も市販されていますが、不潔になりがちな上、大きさが選べないなどの欠点があります。はさんで固定しているだけでは、効果は望めません。ガーゼをたばこ1本ぐらいの太さに折り畳んで、親指と第2指の問にはさみ、ぱんそうこうで軽くとめておきます。夜寝る時につけますが、そのまま靴下をはいて昼間もつけていればさらに効果的です。簡単に取り替えられ、指も自由に動かせます。静止させておくのではなく、動かすことを心掛けます。
★ 指をよく動かす
 積極的に指を動かします。ものをつまむ動きが効果的なので、毎日親指と第2指で紙や布片をはさみ、移動させます。
★ 湿布する
 親指の付け根が腫れて痛む場合は、貼布剤などで湿布すると、炎症が鎮まります。

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