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食品衛生とHACCP(危害分析重要管理点)

 食品衛生の目的は、食品による健康危害を防ぐことにあります。この危害には生物学的危害、化学的危害、物理的危害があります。
■ 生物学的危害
 飲食に起因する食中毒がその代表です。サルモネラ、カンピロバクター、腸炎ビブリオ、黄色ブドウ球菌などによる細菌性食中毒です。更に、病原性大腸菌0-157のような指定伝染病、赤痢菌、コレラ菌のような経口伝染病もこれにあたります。このほか、寄生虫による危害もあります。
 細菌などの微生物が増殖するためには温度、水分、栄養素などが必要です。これらをコントロールすることで増殖を抑えることができます。
■ 学化的危害
 まず、フグ毒、貝毒、キノコ毒などの天然の化学成分による食中毒があります。これを防ぐには適切な食品知識が必要です。また、人工的化学物質では、農薬や家畜用医薬品の残留、食品工場で使用される洗剤・殺菌剤の汚染混入、高濃度の食品添加物の誤用などによる危害があります。これらは本来、食品の生産・製造段階で適切な取り扱いをすることで防げるもので、また、その量によって危害を与えるかどうかは違ってきます。
 物理的危害は、金属片、ガラス片などの異物混入によって、口腔・胃腸などを傷つける危害です。
■ NASAで開発した衛生管理システム
NASAで開発した衛生管理システム これらの食品による健康危害を防止するために、HACCP(Hazard Analysis Critical Control Point「危害分析重要管理点」)という、新しい考え方による食品衛生システムが開発されました。元はアメリカ航空宇宙局(NASA)が、宇宙食の安全衛生管理のために編み出した方法です。0-157事件を契機に、わが国でもこのシステムが食品製造・販売企業や給食施設に導入されるようになりました。
HACCP■ 従来の衛生管理との違い
 従来の衛生管理は、食品の完成段階でサンプリングして検査し、問題のある製品の出荷を止めることに重点がありましたが、HACCPでは食品の原材料から生産を経て、消費者に届くまでの過程で、危険な個所をすべて管理し、危害の原因そのものを排除しようとするものです。
 まず、各段階で起こり得る危害を事前に予測します。その予測される危害を防止するためのコントロール方法を科学的根拠に基づいて決定し、このコントロールが正常に機能しているかどうかを連続的にモニタリング(監視)します。更に、正常に機能していない場合には、その改善措置をあらかじめ設定しておきます。この過程はすべて記録として保管されるようにします。
■ 徹底した衛生管理
 比較的初期の段階で危害の原因が特定されてしまうので、システムを順守すれば、ほとんど100%の安全性が保証されると考えられます。
徹底した衛生管理 従来の方法と比べて、より徹底した衛生管理であるといえます。PL(製造物責任)法によって、以前よりもはるかに厳しい責任を問われることになった企業にとっても、HACCPは不可欠のシステムになりました。また、衛生管理のすべての段階で、厳密な記録を残すことができます。危害の再発防止対策を立てるためにも、自社製品に対する事故責任の範囲を明確にするためにも有効なシステムと考えられています。
国民生活センター 『くらしの豆知識99』より

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