薬の基礎知識トップ

コエンザイムQ10・L一カルニチンの話

コエンザイムQ10ってどんなもの?
  コ工ンサイムQ10という物質が発見されたのは、1957年のことです。
 アメリカのCrane博士がウシの心筋から分離し、同年イギリスのMorton博士がラットの肝臓から単離した物質で、細胞内のエネルギー産生に必要な補酵素であることから、コエンザイムQ10と名付けられました。
 別名ユビデカレノン、ユビキノンとも呼ばれ、1960年代後半、日本の企業によって量産化に成功し、以来欧米では心臓病の治療薬として、また食品としても流通しています。
 日本では1973年に心筋代謝改善薬として承認され、永く用いられてきました。
 コエンザイムQ10は体内で生合成され、食品からも摂取できることから、わが国では2001年に食品素材として利用できるようになり、サプリメントとして広く普及するようになりました。
 細胞のエネルギー産生に必須の物質であるコエンザイムQ10ですが、残念ながら、20歳をピークに加齢とともに減少していくことが解っています。
 日頃からスポーツや軽い運動をされている方、年とともに体力が衰えているなと感じる方は、ビタミン類やミネラルなどとともにコエンザイムQ10の補給をおすすめします。

■ コエンザイムQ10の3つのはたらき
① 細胞のエネルギーづくりに必要な補酵素
 私たちの体は約60兆個の細胞からなりたっていますが、一つ一つの細胞はそれぞれエネルギーを自ら作り出して元気に働いており、これが健康の源となっています。
 それら一つ一つの細胞は遺伝子の情報に基づいて組織をつくったり、エネルギーを作り出して臓器や筋肉を動かしています。
 細胞内でエネルギーを生み出しているのが、ミトコンドリアという小器官です。
 このミトコンドリアにはATP(アデノシン3リン酸)という、糖や脂肪をエネルギーに変換したり貯えたりする物質があります。
 このATPを生み出すうえで重要な役割をもっているのが、コエンザイムQ10です。コエンザイムQ10が不足すると、エネルギーを充分につくることができなくなり、ちょっと動いただけで、すぐに疲れたり、足がむくんだり、階段の上り下りで息切れや動悸などの症状が現れたりします。
② 活性酸素の除去
 体内で利用された酸素の約2%は活性酸素に変わります。
 活性酸素は体内に侵入した病原菌などを殺す働きもあるのですが、過剰になりすぎると自らの細胞を傷つけたりする両刃の剣でもあります。
 様々な生活習慣病や老化にこの活性酸素が関与していることは広く知られています。
 コエンザイムQ10は活性酸素を分解、無毒化する抗酸化物質の一つであり、そのなかでも代表的なものです。
③ 免疫力を高める
 私たちの体は、外から侵入してくる病原体に対しても、体内で発生する細胞の変異に対しても、それらと闘い排除する「免疫」という働きが備わっています。
 その免疫の働きを担っているのが血液中の白血球という細胞です。体力の衰えや老化にともない、白血球の活性は弱まっていきますが、白血球細胞のコエンザイムQ10が減少していくのもその一因です。
 加齢とともに減少していくコエンザイムQ10を食事やサプリメントで補うことで免疫力が高まるといわれています。

脂肪の燃焼に必要なL-カルニチン
 L-カルニチンは肝臓や腎臓で生合成されるアミノ酸の一種で、ミトコンドリアで脂肪の燃焼に必須の活性化分子として働いています。血液中の脂肪すなわち脂肪酸をミトコンドリアに運搬する役目をするもので、脂肪酸がエネルギーに変換する手助けをします。L-カルニチンが不足すると脂肪酸は血液中にもどり、皮下脂肪や内臓脂肪となり、肥満の原因にもなります。
 また、神経細胞を壊れにくくするアセチルーカルニチンという物質のもとになるものでもあります。
 このように脂肪の燃焼や神経細胞に必要なL一カルニチンではありますが、20歳をピークに年々減少していきます。スポーツする人、肥満が気になる人、高齢者の方は食事やサプリメントで補給するといいでしょう。

薬の基礎知識・ページのご案内

ページの上に 戻る↑