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C型肝炎にインターフェロンは効くか

● 放置すれば肝癌へと進展
 胃潰瘍のため内視鏡検査を受けるべく、事前チェックを終えた商社マンのK氏(60歳)が真っ青な顔で診察室に飛び込んできました。偶然、C型肝炎であることが判明したからです。
 ご周知のように、C型肝炎と言えばその病の期間が長く、放置すれば肝硬変、さらに肝癌へと進展する大変厄介な病気です。K氏はすでに友人などの話を開いており、インターフェロンでウイルスを退治したいと懇願する有様でした。
 インターフェロン(INF)には3種類あり、ヒトの白血球から作られるアルファ型、繊維芽細胞から産生されるベーター型、リンパ球のT細胞から作られるガンマー型があります。このうち、C型肝炎には、前二者が有効とされています。
 ところがINFの治療では、発熱や脱毛などの副作用がある上、C型慢性肝炎の治療率は、30~40%に止まり、全く効果のない例もあるのです。
 INF治療に影響する因子は、C型肝炎ウイルス(HCV)の遺伝子型 (HCV-RNAジェノタイプ)、ウイルス量(HCV-RNA定量)、それに肝の組織病変の程度です。遺伝子型のⅠ(Ia)型は日本人には見られません。INFの効果が得られるのは、Ⅲ(2a)型、Ⅳ(2b)型、でウイルス量が1ml当たり105コピー未満、肝の組織変化が軽度の場合です。有効率は80~100%です。一方、日本人のC型肝炎の60~70%を占めるⅡ(1b)型では、ウイルス量も105コピー以上で肝組織病変も重度なため、有効率も30~40%に止まり、無効例は60%を超えるのが現状です。

● 繊維化阻止が進展を予防
 K氏のウイルス遺伝子型はⅡ(1b)型で、残念ながらINFによる治療効果は期待できません。そこで、肝炎症状を抑え、組織学的安定を図り、肝硬変、肝癌への移行を阻止する強力ネオミノファーゲンCによる治療を選択しました。
 肝硬変すなわち肝の繊維化は、伊東細胞という細胞の増殖とコラーゲンの過剰な産生によることが最近の研究で明らかになりました。肝繊維化が進むと類洞周辺の血流が低下し、肝細胞の低栄養化、懐死が進行する悪循環が起こります。この繊維化を阻止することが、C型肝炎の肝硬変や肝癌への進展を予防することになります。
 繊維化のマーカーとして、現在PⅢP、Ⅳ型7Sコラーゲン、ヒアルロン酸などがあります。漢方剤の小柴胡湯による抗繊維化作用を、繊維化マーカーの変動で3年間観察した成績では、有意差をもって正常化したことが示され、その効果が期待できます。C型肝炎の治療は、その性質上時間をかけて、有効な治療法を積極的に続けることが重要です。

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